店の従業員に店をやる遺言(遺言文例 55)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を中村太郎(昭和44年4月4日生、久留米市中央町3番地3)に遺贈する。
     記
 所在 久留米市中央町、地番1番1 宅地 90.00平方メートル
 所在 久留米市中央町1番地1 家屋番号 1番1 店舗 木造瓦葺2階建

第2条 遺言者は、第1条記載の土地及び建物に付随する動産及び当該建物の中にある一切の動産を前条記載の中村太郎に遺贈する。

第3条 第1条記載の不動産を除く遺言者の有するその他の不動産全部は、次女佐藤愛子(昭和34年5月5日生)に相続させる。

第4条 第1条乃至第3条記載の財産を除くその他一切の財産は、長女山口幸子(昭和33年3月3日)に相続させる。

第5条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、次女佐藤愛子を指定する。

第6条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、第1条と第2条については中村太郎を、その他については長女山口幸子を指定する。
 2 遺言執行者は、相続財産に含まれる預貯金債権の解約、払戻し、動産の処分等のほか、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。

付言 中村太郎君は、高校卒業後、私が経営していた寿司店に見習として来ました。最初はあいさつもろくにできず、長く続かないだろうと予想していました。ところが、その後20年以上勤めてくれて立派な寿司職人となりました。この店が、地域でも有数の寿司店となることができたのも彼の手伝いがあったからだと感謝しています。ただ、この店には子供の跡取りがいません。娘たちはそれぞれ、サラリーマンや公務員と結婚し、寿司店にはまったく興味がなさそうです。そこで、これまでの店への貢献の感謝の気持ちとして、従業員の彼に店をやることにしました。娘たちも、その旨了解しています。中村太郎君には、「みずほ寿司」の看板を守ってもらいたいと思っています。建物は古いですが、まだまだ使えるはずです。

平成27年5月6日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  佐藤 太郎 


※補足説明

 個人事業経営者が店の従業員を後継者に指定する場合に使う遺言です。どのような内容にすれば、スムーズに後継者に事業承継できるか、前もって検討すべきです。よって、事前に行政書士や税理士などの専門家と相談されることをお勧めします。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。