亡き長男の妻へ遺贈する遺言(遺言文例 82)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金の中からそれぞれ金500万円宛を、長女中村真央(昭和45年5月5日生)、次女佐藤静香(昭和49年6月6日生)の2名に相続させる。

第2条 遺言者は、前条記載の預貯金1000万円を除く遺言者の有する不動産その他一切の財産を、亡き長男宮崎一郎の妻田中祐子(昭和45年5月9日生)に包括して遺贈する。

第3条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、前条記載の田中祐子を指定する。

第4条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
 福岡県久留米市中央町38番地23
 行政書士  宮崎 信幸(昭和33年3月3日生)
 2 遺言執行者に対する報酬は、金30万円とする。執行報酬については、遺言者の有する預貯金から優先的に支出するものとする。

付言 以上のような遺言の内容にした理由を少し説明します。私は妻(あなた方の母親)がなくなった後、一郎の家族と同居することになりました。ところが、一郎も交通事故で先に亡くなってしまいました。それ以後、祐子さん、そして孫の3人と住んでいます。祐子さんは、公務員として働きながら、病気がちな私の世話を文句一つ言わずしてくれています。このまま私が亡くなったら、祐子さんに相続の権利はないはずです。祐子さんを養女にしようとも考えましたが、祐子さんに断られました。そこで、遺言を作成して、渡すことにしました。元々、一郎が元気であったならば、渡す予定だったものです。よって、二人の娘たちにやれる分が少ないかも知れませんが、私の気持ちを理解して、自分達の家族を大切にして、みんな仲よく暮らすよう希望します。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  田中 太郎 


※補足説明 関連遺言

 介護などで世話になった亡き長男の妻に遺贈する遺言です。遺言者の孫(長男の子)がいれば、孫が代襲相続人となります。孫がいてもいなくても、子供の妻は法定相続人ではありません。よって、世話になりっ放しではなく、遺言による遺贈でもって、感謝の気持ちを形にしては如何でしょうか。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。