養子にした孫に相続させる遺言(遺言文例 77)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する不動産その他一切の財産を養子中村真一(平成2年5月5日生)に相続させる。

第2条 長女田中直子(昭和40年4月4日生)、長男中村一郎(昭和42年6月6日生)、次女佐藤幸子(昭和44年9月9日生)においては、各自に相続時精算課税制度を利用し、各2千万円相当額を生前贈与で渡しているので、相続分はないものとする。

第3条 遺言者名義で農協から借り入れている債務については、養子中村真一が負担すべきものとする。

第4条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男中村一郎を指定する。

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、養子中村真一を指定する。
 2 遺言執行者は、遺言者名義の預貯金債権の名義変更、払戻しその他、この遺言を執行する上での一切の権限を有する。
 3 遺言執行者は、必要と認めるとき第三者にその事務を委任することができる。

付言 酪農は、戦後私が始めました。子供たち3人は誰も私の跡を継いでくれず残念に思っていました。ところが、一郎の長男真一が酪農に興味を示し、農業高校に進み、後を継ぐ決心をしてくれたときには本当にうれしかったです。そこで、真一を養子にして、牛舎や農地などを含めて全て相続させることにしました。子供の代を飛び越して、にやることには多少不満もあるかも知れません。しかし子供たちには、十分してやったので文句は出るはずがないと思っています。朝早くから、牛の世話をすることがどれだけたいへんか知っているのなら、3人の子供たちは真一を見守って、応援してやってください。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市田主丸町1111番地1
遺言者  中村 太郎 


※補足説明 関連遺言 関連遺言 関連遺言

 酪農経営者が孫を後継者に指名する場合に使う遺言です。養子縁組は慎重であるべきだと思いますが、使い方によっては有益で、節税にもなります。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。