抵当権付不動産を相続させる遺言(遺言文例 99)

遺言書

第1条 遺言者は、下記不動産を長男佐藤一郎(昭和50年5月5日生)に相続させる。
     記
 所在 久留米市中央町1番1 宅地 200.00平方メートル
 所在 久留米市中央町1番地1 居宅 木造瓦葺2階建

第2条 第1条記載の不動産に設定された抵当権の被担保債権は、長男佐藤一郎の商売上の借金が原因である。よって、当該債務は、長男佐藤一郎が単独で相続し負担すべきものとする。

第3条 長男佐藤一郎は、遺言者の妻佐藤幸子(昭和25年6月7日生)を第1条記載の遺言者の不動産に生涯無償で住まわせるものとする。

第4条 第1条記載の不動産を除く遺言者の有する一切の財産は、妻佐藤幸子にその2分の1、長女田中祐子(昭和49年3月3日生)と次女佐藤裕子(昭和51年8月8日生)に各4分の1の割合にてそれぞれに相続させる。

第5条 遺言者は、祭祀主宰者として長男佐藤一郎を指定する。

第6条 遺言執行者として、次女佐藤裕子を指定する。

付言 家の抵当権は、一郎から頼まれて設定したものです。よって、一郎が責任を持って支払いなさい。くれぐれも延滞して家を失うことのないようにすること。妻幸子が自宅で安心して長生きできるようにしてもらいたい。

平成27年5月7日

住所 福岡県久留米市中央町1番地1
遺言者  小林 太郎 


※補足説明 関連遺言 関連遺言

 一般の住宅ローンであれば債務者が生命保険に加入しており、債務者が死亡すると債務も完済になります。しかし、事業資金の借金などの抵当権は、債務者が死んでも完済には原則なりません。また、被相続人の債務は、法定相続分の割合で負担(相続)することになります。しかし、遺言でもって負担(相続)すべき相続人を指定しておいて、それを債権者が承諾すればそのようになります。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。