個人事業者の遺言(遺言文例 53)

遺言書

第1条 遺言者は、遺言者の有する預貯金からそれぞれ金100万円を長女田中愛子(昭和50年5月5日生)と次女山口理恵(昭和53年3月3日生)に相続させる。

第2条 前条記載の200万円を除く預貯金全部を遺言者の三女石井幸子(昭和55年5月5日生)の夫石井一郎(昭和55年6月6日生)に包括遺贈する。

第3条 遺言者は、第1条ないし第3条記載の財産を除く不動産その他一切の財産を三女石井幸子に相続させる。

第4条 遺言者は、祖先の祭祀を主宰すべき者として、三女石井幸子を指定する。

第5条 遺言者は、この遺言の遺言執行者として、三女石井幸子を指定する。

第6条 遺言者が国民生活金融公庫から借り入れている債務は、三女石井幸子とその夫石井一郎が連帯債務者となり相続すべきものとする。

付言 石井ガス販売店は私とあなた達のお母さんとで始めたものです。お母さんは早くに亡くなったので幸子が手伝ってくれるようになりました。その後、従業員だった一郎君と幸子が結婚してくれて安心したものでした。ただ、今の商売もこれ以上景気がよくなるとは思えません。しかし、贅沢さえしなければ人並みの生活はできるはずです。そこで、愛子と理恵には申し訳ないけれど、以上のような遺言を残すことにしました。3人姉妹なので、今後も仲良く、それぞれの家族を大切にして長生きしてください。

平成27年5月6日

住所 福岡県久留米市中央町3番地9
遺言者  石井 太郎 


※補足説明 関連遺言 関連遺言 関連遺言

 個人事業をしている人が後継者を指定する場合に使う文例です。事業を継続させるには事業用地などを分散させないことが必要です。また、事業による債務も後継者に引き継いでもらうことが重要です。被相続人の債務は原則として、法定相続人が法定相続の割合で相続しますが、上記のように記載があり、債権者(国金など)が承認すれば、特定の相続人等に相続させることができます。

 上の遺言書は、自筆証書遺言の見本です。全てを自分でペンを使って書き、必ず日付を入れてください。印鑑は認印でも構いませんが、実印が良いでしょう。作成後、封筒に入れて封印をし、妻に預けておくと良いでしょう。
 当然、公正証書の原案(下書き)としても利用できます。公正証書遺言が、より安全で安心です。