遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために特に選任された人、相続人の代理人となる人です。民法第1006条以降に規定があります。遺言の内容どおりに実現されるかどうかは、遺言執行者次第ということも言えます。遺言執行者について特に重要な事項は次の通りです。

  1. 遺言執行者の指定・・・遺言執行者は遺言で指定します。また、遺言で指定の委託をすることもできます。もし、遺言で指定していなかったり、指定後、遺言執行者が死亡などしていた場合は、家庭裁判所に遺言執行者選任を請求することができます。
  2. 遺言執行者の欠格事由・・・自然人(人間)は原則誰でもなれますが、未成年者や破産者は遺言執行者にはなれません。一般的には、推定相続人や受遺者、専門家(弁護士や行政書士など)がなる場合が多いようです。信託銀行などの法人も遺言執行者になれます。
  3. 遺言執行者の権利義務・・・遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。これにより、相続人は、相続財産の処分その他遺言執行を妨げる行為をすることができません。しかし、特定の遺産についてのみの遺言であれば、その遺産についてしか遺言執行者の権利義務はありません。
  4. 遺言執行者の地位・・・遺言執行者は相続人の代理人とみなされます。特に、不動産の遺贈などの場合は、遺言執行者が登記義務者である相続人の代理人となるので、スムーズに移転登記ができます。
  5. 遺言執行者の報酬と費用・・・遺言執行者の報酬は遺言で遺言者と遺言執行者間で定めておくことができます。もし定めがなければ、相続開始後、遺言執行者と相続人間で相談するか、家庭裁判所で定めてもらうことになります。スムーズな遺言執行ができるように、事前に取り決めて遺言に記載しておくのが良いでしょう。専門家への報酬の相場は、30万円~遺産額の3%とまちまちです。また、報酬を含む遺言執行費用は相続財産から支出(負担)することになります。